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せめてssサイトらしく、そして妄想の赴くままに。

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人でごった返しになる栄えた場所、都心の駅でもショッピングモール。なんでもいい。それを頭の中でイメージしていただきたい。

……イメージできただろうか?インドア派かアウトドア派かによって、このイメージはプラスにもマイナスにも変化する。現に、インドア派であるという自覚をもつ僕の思い描いたイメージは、「人ごみにもまれる」「やたらとうるさい」といったようなマイナスに彩られている。

プラスイメージでは……それからの行動欲求がわきあがったりするのだろうか。まぁ、それはいい。僕はプラスのイメージにもっていくことのできない人間であるからだ。こればっかりは、人によりけりだと思う。

……ああ、言いたいことから少し話がずれてしまった。僕を含む一部の同志たちの気分を悪くさせるためのイメージではなかったんだったよ。

ならばその場所から人がいなくなったら、どんな風景になるのだろうか。つまりはそんなことを言いたかったんだ。

今、僕は「人がいない栄えた駅前」にいる。

人がいないのに栄えているのは変じゃないか?いや、変ではないんだ。普段人がいることが前提とされた場所に、人がいないだけなのだから。

「おい、大丈夫かよ?」

「ああ、うん、そろそろ」

たっぷり休憩をとっていては心配もされるらしい。

誘った側のくせに待ち合わせに遅れ、自転車を共に走らせてははやくから息切れをおこし、到着と同時にグロッキーにおちいっていた僕だったがそろそろ呼吸も落ち着いてきた。

「ふふん」

そんな折に、なにやら得意顔の友人から上機嫌な声がきこえたので注目してみる。なにやら、やけに得意げな顔をしていた。

「早く撮ろうぜ。なかなかいいもんじゃないか。こんなネタあるんならもったいぶらないで言っておけよな」

「うん、そうだね。たぶんあと30分もすれば始発使ったりする人で人、増えてくるだろうし」

「うぇ、マジかよ。そういうことははじめっから言っておこうぜ」

待っていた、というニュアンスを漂わせる友人だったが僕が体力回復にいそしんでいる間もシャッター音が響いていたことを、僕は知っている。こいつめ。

「まぁ、いいじゃん」

いいかげん僕も撮り始めないと、なんのための早起きとハードな自転車移動かわからなくなってしまう。これを何回も……はさすがにおっくうだ。

肩から腰にナナメにかけるタイプの愛用のバックから、カメラを取り出す。ふと視界に入った腕時計がさす時刻はAM03:46だった。始発が確か……ああ、4時38分ね。光りだした電光掲示板を見れば一発だ。まぁ、なんの祝日でもない休日のこんなに朝早くからわざわざ始発で出かける人間なんてごく一部だろう。

辺りにかわいたようなシャッター音が響く。

撮るたびに、予想を超えた神秘的な何かをとらえていく感覚がわいてくる。まだほの暗いままの周囲、動き始めたばかりの電光掲示板、駅構内から微弱にあふれてくる蛍光灯のひかり。まるでまどろみに体を預けているかのようなコントラスト。……眠りと目覚めを繰り返すのは、何も人間だけではないのだ。

撮り続けて十分くらい経っていただろうか。お互いにふらふらとさ迷っていたが、ふと頭にひらめくものがあった。あいつは……ああ、いた。

「どうだい調子は」

寝転がり下アングルからカメラを構える男に近寄っていくのには若干の抵抗があったが、こういったのは欲求から発生する病のようなものなので仕方ない。僕のこのひらめきも、同じものだしね。

「おう、どうかしたか?」

目線はこちらに、体は寝転がったまま答えられる。手は休めてるけど。

「うん、モデルになれ」

「オーケー、ちょっと脱いでくるから待ってろ」

「そんな趣味はないね」

意気揚揚と起き上がろうとする友人を押さえつけるように踏みつける。おお、なかなかに有効的だったみたいだ。

「く……ジョークのわかんないヤツ!」

「へぇへぇ、悪うござんしたね。いいからちょっと切符買ってきてよ」

「切符ぅ?電車で帰るのかよ」

「モデルって言ったじゃない。ちなみに無表情で頼むよ」

「ふーん、まぁ、いいけどさぁ。買うふりでいいんだろ?」

「うん、それでいいよ」

足をどけてやると、いそいそと立ち上がる。うわ、足跡ついてるじゃねぇか、なんてつぶやいてる。……さすがに申し訳ない。

「まぁ、報酬は要相談で」

「おお?……ふふん、覚悟しておくんだな」

聞こえない、聞こえない。

なんて言いつつも、すみやかに行動にうつっていく。僕がひらめいたのは、一人だけの空間。膨大な空間に人がいない光景というのも異質だが、一人だけがたたずんでるというのもなかなか異質に思えたからだ。その空間が一人だけのために存在しているその光景が。

そして……結果からいってしまえばそれは絵になる構図だった。

友人がそこそこに栄える男だったおかげもあいまって、ひらめきから生まれたはずのそれが意味あるものに変化しているように思えた。

サイドから。ほかの切符売場を巻き込んで。

バックから。一人を際立たせるように。

「……やっぱ切符買おうか」

「……はぁ!?」

「いやほら、なんかこう……あぁ、中から出てきてよ。正面から、なんというか」

「いいけどよ、中うつしすぎるのはよろしくないぜ?」

「え、そうなの?」

「おまえさんさ、主要路線とかの……撮影許諾料って言葉知ってるかい?」

あっれ、呆れられてる。とりあえず笑ってごまかそう。日本人的に。うわぁ、わざとらしくため息つかれたよ。ダメな子ですか僕は。

「今度調べとけよなぁ、マジ馬鹿にならない値段だから。見つからないうちはいいけどさぁ、見てくれだけでも成長してる俺らみたいなのだとソッコーアウトですから」

「……そうなんか」

「小学生がはしゃいでパシャパシャとってたら駅員さんに怒られたのでゴメンナサイ、と謝って済むところが済まないのよ。現実問題としてね」

「……勉強しておくよ。厳しい世の中だね、しかし」

世の常なのだよ、と芝居かかった口調で同意される。

「そんで、どうする?」

「なにが?」

「なにが、じゃねぇよ。出てくるのを撮るか撮らないか」

「え、マズいんじゃないの?」

「斜めからとかさ、工夫のしようはあるわけじゃない」

「それはそうだろうけど。さっきの話からしてさ、もしかして駅の外観とか撮ってるのもマズかったんじゃないかって……」

「何をいまさら」

え、と反応するよりも早く二の句が継がれる。

「ま、正味な話、外観はグレーだけどな。非常に微妙なワケよ、テレビの街頭インタビューとかさ、あれ、たまに駅前とかでやるだろ?あんなんは金払ってるわけない。でも、映してる。さて、どうなんだろうな」

「どうなんだろうなって……」

「早い話が、何に使われるかってことなんだろうけどよ」

知ったこっちゃねぇやと、さもつまらなさそうに吐き捨てる。実際につまらないんだろうけど。……うん、確かにまったくつまらない。

「あーあぁ、女の裸も写真じゃ犯罪ですかァ、だったら駅前の銅像たちは公然わいせつ物じゃねぇのかよ、ってなぁ?」

「……落ち着くところは、そこなんだ」

勤勉っぷりを発揮していただけに、少し残念に思えた。決して言ってやらないけど。

「んで?」

ああ、どうするか、だったか。

「……帰ろっかぁ」

「……これまた、えらい極端じゃないか」

「うん、なんか終わっちゃった感じがね」

「あぁ、その感覚はわかるわァ」

時刻は4時12分。さっきから改札近くで会話していて気付かなかったが、少しずつ人が増え始めている。タクシーが動きだし、コンビニ用の輸送トラックが行き交い始め、店の明かりが目立ち始める。

街が起きはじめているのだ。

いつの間にか、僕らが撮っていた風景はどこかに忘れ去られていた。あっという間に遂げられた感覚的な変貌は、僕らに我を瞬間忘れさせた。

「……帰りますか」

声をかけられたときはまだ呆、としていたが、かけられたことで移動手段なんぞを思い出す。ああ、そうだった。

「行きも苦痛なら、帰りも苦痛なんだけどね」

「お前はあれだ、体力なさすぎ」

「うっさいよ……」

僕に限っては、落ち着いた瞬間睡魔が襲ってきそうだった。




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しのざき

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