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何もないのはあまりにも、あまりにもなので今まで作った駄作を置いておきます。

ご覧いただければ幸い、感想等いただければなお幸いです。

「続きを読む」でご覧ください。











……郷愁。

幼いわたしが、たしかにそのころ住んでいた場所に一人、呆、とたっている。

うすい霧がかかったような夕暮れの中、わたしは錆びた鉄てすりの向こう側の世界を見つめているかのようにも見えた。もしそうであるなら、……うむ、ほかに建造物は見当たらないため、幼いわたしの向こう側の世界はよく見えてしかるべきだ。さぞや気持ちのいい眺めだろう。

……だが、周囲には「何も」なかった。

ただ夕暮れの霧が辺りを覆う世界。その世界にぽつんと、幼いわたしとアパートだけが存在している。

……ひとつ、白状しよう。

わたしはこの憧憬を何度も何度も見たことがあった。

そして必ず決まったことが発生する。それはいつも唐突に。避けようもないまま。

幼いわたしは、いつも二階の通路の上にたっている。その通路は短く細く、幼いわたしでも通路の端から二桁歩を進めればもう階段に足を踏み入れるほどだろう。

そんな通路の上、幼いわたしは階段に近い位置にたっていた。

……唐突に、幼いわたしは階段を転げ落ちる。

ずっとずっと、転げ落ちていく。錆びた鉄の乾いた音を引きつれて。

まだか、まだ落ちていくのか。まだまだ、転げ落ちていく。

体のあちこちをぶつけているはずだが、痛みはない。回転する視界は閉じられないまま、錆びた鉄の色と夕暮れの霧を交互に映しだす。

……だが何事にも永遠はない。

やがて脳に直接響くかのようなにぶい音とともに、体は落下をとめた。

幼いわたしは宙を仰ぐように、今まで落下してきた階段を見返す。

錆びて表面がじりじりと剥がれだした鉄の階段を、じっと見返す。

その視線は少しずつ上へと上がっていく。まるで一段ずつ歩を進めるかのように。急ぐこと無くゆっくり、しかししっかりと。

そしてその先、階段を上がりきったその先に、幼いわたしの視線はわたしを見おろす視線をとらえるのだ。

そうか、わたしは。

……そしてわたしは気づくのだ。

夕暮れの霧が夕闇に変わってきた世界の中、呆としていたわたしはある発見をした。

階下、誰かがうずくまっている。

ああ、あの人は。


……夢が終わる。

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Tag : 創作 ss
 
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しのざき

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